あの時の涙の味は、しょっぱかったのか、苦かったのか。

あのあと、店長とはもう一度だけセックスをした。

気持ちいいセックスだった。

恋人とするセックスとは違う、奔放なものだったような気がする。


とは言え、満足したかどうかと聞かれると首を傾げるしかないのだけど。

指が押し込まれた時、

「痛い」

と云うと、ちゃんと開かないから痛いんだよ、と足を無理やり大きく開かれ、奥深くにねじ込まれた指。

前回と同様に、潮を吹いたらしい。


椅子に浅く腰掛けた店長の、開いた膝に座るような体勢で。

それは気持ちよかった。

アレは涙を流す行為に似ているのかもしれない。

わんわん泣いた時、涙にストレスの成分が溶けて外に流れ出るそうだけど、似たような感覚だった。

向かい合う形で、そのまま店長は自身のモノを押し込んで、私を抱きかかえるようにして。



今回はその一連の行為がもどかしく感じたので、ゴムはしなかった。

その為、途中で抜かれたそれは私の口に。

気持ちいいのがいいんでしょ？と下は自分の手で弄った。

それはそれで気持ちよかった。

あと店長の精液は彼氏のより苦くは無かった。

アレは人によりけりか。




その後しばらくは、飲みに行っても何も無かった。

彼氏との次のデートを楽しみにしている私に、彼だって寂しい思いをしているはずだからね、と言ってくれた。



数週間ぶりに彼氏に会うことが出来て、一泊二日のデートを楽しんだ。

１日目のセックスの時、そこに至るまでの行為がマンネリ化してきたような気がする。

入れる時、まず横になった彼氏に私がゴムをつける。

そのまま私が上になって腰を下ろすのだけど、最近少し痛いのは性急すぎる所為だろうか？

快感を早く欲しがってしまうから、もっとゆっくり感じるようにすればいいのかな。

痛いけれど、ゆっくり腰を下ろして彼のを向かいいれる時、お酒を飲んでいたので酔っていたからだろう…

眼を閉じていた彼氏。

その時、私に目から涙が零れ落ちた。

感極まって、なのか、なんなのか。

涙の理由を探した。

彼が、私を見ていない。

そういうわけではないはずなのに、そう思った瞬間、あふれ出した涙を抑えきれず。

苦しくて悲しくて。

それでも彼を求めて動く腰。

抱きついて、抱き締められて。

気持ちよさの中で感じる不安とか恐れとか、なんだかもう頭の中がぐっちゃぐちゃ。

でも、

やはり泣いたからかすぐにすっきりとした気持ちになり、その後は普通に気持ちのよいセックスを続けた。



二日目の夕方のセックスでは、ちょっと思い切って苦手なバックをおねだり。

いつもは深すぎて苦しくて、気持ちいいのにちょっと辛いんだけど。

その日は気持ちよかったです。


少し強引な行為に弱いのは、求められてると勘違いしてしまうからかもしれない。