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2011/10/03 (Mon)
お話をお聞かせいたしましょう。

とある大陸に、決して大きいとはいえないけれど、美しい王国がありました。

名を、「リエスタ」という。

リエスタは大陸の、中心からはだいぶ離れた国で、この大陸には他に2つの国があったが、リエスタとは領土争いをすることも無く、友好的な関係であった。

この大陸のどこかには、ある一族が住んでいた。
場所が定かではなく、知る者もいないのだが、その存在だけは多くのものが知っていた。

神より力を与えられた、聖なる錬金術師の一族だ。


さて、前説明はこの辺にして、そろそろ本題へ入ろう。


ある、嵐の晩。
リエスタの城下町の入口に、三つの影が立っていた。
大きな影が二つと、小さな影が一つ。

門番は困惑したが、この酷い雨の中で拒むわけにもいかず、門をくぐらせ街へと引き入れた。
小さな影は、子供だった。
雨風の中で弱りきった小さな体。
門番は上司へと連絡し、彼ら三人を王国騎士団の宿舎へといざなった。
そこには常駐の医者もいるので、子供の様子も診れるだろうとの計らいであった。

宿舎には、家を出て修行中の若い騎士候補生や、一人身の騎士などが仮住まいとして暮らしていた。

子供はだいぶ衰弱していたが、常駐医師は大変良い腕を持っていたので、大事には至らなかった。
さりとて、弱った身体ですぐに町を出て旅を続けられるとは、思えなかった。
翌朝報告を受けた騎士団団長は、彼らと話をする事にした。

そうして、知ったのだ。
彼らがかの有名な、聖なる錬金術師の一族の者である事を。

団長は、王へとその旨を伝えた。
王はすぐに、宿舎へと赴いた。

王の名は、セディラント17世、年は30を迎えたばかりで、最近一回りも年の離れた娘を娶り、娘は身重であった。

「もうすぐ、子も生まれる。そなたたちさえ良ければ、子供の体力が回復するまで、居ると良い」

生まれてくる子をどうか、祝福しておくれ。

王の言葉に、一族の者は深々と頭を下げた。
1人は老人であった。
もう1人は20代のようであった。
そして子供は、10にも満たぬように見えた。

ひと月がたった。
老人と青年は、王の客人として城の離れをあてがわれた。
子供は見る間に回復し、今では騎士宿舎を訪れ、騎士たちの鍛錬の真似をするようになっていた。
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